「周りはみんな塾に行っている」——受験生からよく聞く言葉ですが、データはそのイメージを裏付けません。まず数字から確認しましょう。
データで見る「塾なし」の実像
塾なしは多数派、ただし入試方式による。2つの調査を見てください。
- 文部科学省「子供の学習費調査」: 公立高校生の61.4%は学習塾費が0円(高校生全体・支出ベース。費用データの詳細)
- じゅけラボ予備校の調査(大学生の子を持つ保護者1,332名・2025年): 受験期に塾・予備校を**「利用していない」53.3%**
ここまでなら「塾なしが普通」で終わりですが、同じ調査を選抜方式別に見ると景色が変わります。
| 受験した選抜方式 | 塾・予備校を「利用していない」割合 |
|---|---|
| 指定校推薦 | 64.1% |
| 総合型選抜 | 62.3% |
| 公募型推薦 | 49.6% |
| 一般選抜 | 41.4%(=約6割が利用。内訳は集団指導25.9%・個別指導23.6%) |
つまり「塾なしで受かるか?」への誠実な答えは、**「どの入試で戦うかによる」**です。
どの入試で戦うかを先に決める
文部科学省の令和7年度の公表では、大学入学者の53.6%が総合型選抜(19.5%)または学校推薦型選抜(34.1%)——いわゆる年内入試で入学しています。塾なし率が高い選抜方式が、いまや入学者の主流です。
- 年内入試(総合型・学校推薦型)軸: 評定・活動実績・志望理由書・面接が中心。塾なしで戦う人が6割前後おり、学校のサポートが主戦力になります(推薦・総合型選抜に塾は必要か)
- 一般選抜軸: 学力試験勝負。約6割が塾を利用する世界で、塾なしを選ぶなら次章の「4つの機能」を意識的に埋める必要があります
塾が担う4つの機能と、自前での埋め方
「塾なし=完全独学」ではありません。塾が提供している機能を分解すると、それぞれに無料〜低コストの代替があります。
| 塾の機能 | 塾なしでの埋め方 |
|---|---|
| ① 学習計画・ペース管理 | 市販の参考書ルート+週単位の計画表。模試を「中間締切」として計画に組み込む |
| ② 入試情報・出願管理 | 学校の進路指導室、大学入試センター・各大学の公式サイト、模試の解説資料。共通テストは全員が個人でWeb出願する時代のため、締切管理は必須スキル |
| ③ 質問・添削 | 学校の先生(最も確実で無料)、質問対応つきのオンラインサービス、記述添削サービス |
| ④ 勉強に集中できる環境 | 学校の自習室・図書館・自治体の学習スペース。なお当サイトの集計では掲載塾の88.8%が自習室に言及しており、「環境だけ塾で買う」という選択肢もあります |
映像教材はこの中間解の代表で、例えばスタディサプリのベーシックコースは月2,178円(12か月一括なら月あたり1,815円・公式料金)。「塾か独学か」の二択ではなく、欠けている機能だけ外部から買うのが現代の塾なし受験です。
費用は「積み上げ」で比較する
- 塾あり: 学習塾費を支出している家庭の高3平均は年20.6万円(文部科学省調査。費用の内訳と考え方)
- 塾なし: 参考書・問題集(数千円×必要冊数)+模試受験料(年数回)+任意の映像教材(年2〜3万円程度)
差額は大きいですが、「浮いた分で何もしない」のではなく、模試の回数を増やす・添削サービスに投資するなど、欠けやすい機能への再配分を前提に考えるのが現実的です。
塾なしが向く人・向かない人(断定ではなく傾向)
向きやすい: 学校の授業・教材を軸にできる/計画を立てて自分で修正できる/質問できる先生・環境が身近にある/年内入試軸
塾の検討をすすめたい: 何から手を付けるべきか自体が分からない/計画が三日坊主になりがち/記述・論述の添削相手がいない/一人だと勉強時間が確保できない
後者に当てはまるからといって「塾なし=失敗」ではありません。弱い機能を自覚して、そこだけ外部で補えばよいのです。
途中から塾を使う選択肢はいつでもある
塾なしで始めて、必要になったら部分的に塾を使う——この順番は合理的です。夏期講習だけの利用や、苦手単元に絞った短期の個別指導(当サイト集計では掲載塾の71.2%が個別指導対応)など、入口は通年入塾だけではありません。切り替えを検討する際は入塾前チェックリストと残り日数からの逆算をどうぞ。
「もしも」に備えて地元の塾を知っておく
塾なしで進める場合も、通える範囲にどんな塾があるかを知っておくと、切り替え判断が速くなります。当サイトの地域別エリアページでは、市区町村ごとに高校生対応の塾を指導形式・大学受験対応・料金公開の有無で一覧できます。
本記事の統計: 学習塾費0円61.4%・高3の学習塾費(支出者平均)は文部科学省「子供の学習費調査」、年内入試53.6%(総合型19.5%+学校推薦型34.1%)は文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況」にもとづく(報道まとめ)。塾利用率の選抜方式別データはじゅけラボ予備校調査(2025年8〜9月・大学生の保護者1,332名、リセマム掲載)。スタディサプリの料金は公式サイトで確認(2026年7月時点)。当サイト集計(自習室88.8%・個別指導71.2%)は掲載データにもとづく編集部算出(調査方法)。